中型一種⑥修了検定1と2
いよいよ修了検定だ。
Cコースが選ばれた。コースといってもこなす課題はほぼ同じだ。左回り右回りの違いでしかない。
こなすべき課題は
・発着点
・路端停車
・右隘路
・坂道発進(サイド)
・S字クランク
・発着点
おおまかにこれらだ。1番の心配は……路端停車だろう。
自分の他には大型が3名、中型は2名、普通4~5名と二輪、けん引が1名ずつ。
けん引はなんと若めの女性だった。かっこいい。なぜだか勇気づけられた。
中型の検定車、僕の運転順位は2番目だった。受検者、検定員のほかに他の受検者が後部座席に同乗する。
(中略)
1番目の受検者の同乗を終え、運転席に乗り込む。
普通免許教習の時に比べれば、不慣れな中型といえど発着なんてどうってことないはずなのに、シートポジションを合わせるだけでも緊張する。
まず外周をぐるっとまわって路端停車へ。
普通車での運転になれているため、なかなかのスピードでつっこみそうになるが、ここはぐっとこらえて徐行で左へ寄せていく。
左をちらちら見ながらゆーっくりと寄せていく。しかしどれだけ近づいているのかはいまいちよくわからない。
左のサイドミラーで車体と縁石の間隔を見てみるが、車体が若干左を向いているために正確な距離はつかめない。
そうこうしているうちに指定のポールとバンパーがあった。
検定員からは特に何も言われないまま発進合図。
次の課題である右隘路へと向かう。左が右かで言われれば右の方が得意だし断然やりやすい。
これは教習中も安定感高めであったために頑張りの描写はカットしよう。
隘路を終え、外周をまわり坂道へ。
気にしなくてもいい乗り心地を心がけるあまり、坂道で止まる直前にエンストしそうになる。
登り坂でエアブレーキを使って停車するのはなかなか難しい。平坦路なら使いやすいくらいなのだが。
サイドブレーキを引き、1速に入れ、クラッチをゆっくり上げてくる……(あたふた周りを見回すだけ見回して、肝心の後方確認を忘れてしまったのは内緒だ笑)
車体が揺れ始め、HALF-CLUTCHの始まりを知らせる。あとはPARKING BRAKEを下ろすとともにCLUTCHとTHROTTLEをSEE-SAWのように操作していく。
力強いDIESEL ENGINEのTORQUEにも助けられ、坂を登り切った。頂上では2速に入れ、これまた強力なENGINE BRAKEで下っていく。これは問題なしだ。
続いてS字クランク………これも特になんなくこなすことができた。
クランクから道路上へ左折で戻っていく際、大回り気味だとの指摘をいつも受けていたので、小回り小回りを意識してまわった。
すると案の定、内側の後輪を縁石にあてそうに。というかこれはあたってしまっているのでは…………と急に不安になり始めた。
しかしあとは戻るだけなんだ、気を取り直し発着点。
発着点
クランクを出る際に内側の後輪をこすりそうになりビビった結果、寄せが甘かったような気もする。
検定員からは、やはり左折時の大回りを指摘された。運転できているといえばできているが、まだぎこちない、そういった感じの評価だった。
待合室で待っている間、タイヤを擦った時の減点について入念に調べを入れた。かなり心配性…。
そしてリサーチの結果、乗り上げたわけでもないので、一発アウトほどのダメージはないと結論づけた。
20~30分ほどして、3人分の検定を終えた検定員がやってきた。そして手招きされて、部屋の外へ連れ出された。
話は変わるが、
刑事裁判において、裁判長が被告に向かって判決を述べる時、
主文→理由の順とするのが通例である。
しかし、死刑宣告の時は 理由→主文とすることが多い。
そのように規定されているわけではないのだが、しょっぱなから「死刑」などと言ってしまうと、被告がショックを受けてその後に述べる理由が頭に入ってこない。
裁判長としては述べた理由も噛みしめて反省してほしいからそうしている、と新聞かなにかで読んだことがある。
結果は不合格だった。
検定員の口からはまず理由が述べられた。
・路端停車で左ミラーをポールに接触させた。
・踏切通過時に颯爽と変速した。
・左折時の大回りはまだ許容範囲。
このようにいくつか指摘されたが、路端停車のミラー接触の時点で1発アウトである。本来なら検定中止であるが…………。
ミラー接触には気が付かなかった。しかし、非常にささいな異音を感知したつもりはある。
しかし自分としてはミラーとポールの間にまだ余裕があるとおもいこんでおり、まさか接触とは思わなかった。
そして踏切上の変速…………普通免許を取ったあとも、これから免許を取る友人に教える為にも学科の問題をよく解いている。二種の学科の勉強もしている。
踏切で変速してはいけないことなど、わかりきったことだ。
それなのに僕は変速してしまった。無意識のうちに3速へ入れていたというのだ。これも全くもって気が付かなかった。
運転技術ばかりを気にして、安全運転に対する意識が疎かになってしまっていたのだ。
これには流石に反省した……。
検定員の心遣い、そして反省を胸に、僕は1時限の補習と再度の検定へ向かい、第二段階への切符を手にしたのだったはいはいめでたしめでたし
第一種中型自動車運転免許 教習第一段階編 完