猟銃の所持許可、狩猟免許や費用について
これから猟銃の所持、主に狩猟を始めようとしている人や、興味あるけどよく知らない人に向けて、銃を持ち猟をするために何が必要で、そのために何をすべきか、に重点を置き、初歩的な部分について解説する。
必要な資格や手続き
猟銃や空気銃を入手するため、また狩猟に出かけるために以下の資格や手続きが必要になる。
- 猟銃の所持許可取得
- 狩猟免許取得
- 狩猟場所の都道府県ごとに狩猟者登録
所持許可は銃を所有するための免許で、
狩猟免許は銃を使って狩りをするための免許と考えればいい。
狩猟者登録は、狩猟をするために、実際に狩猟をする都道府県ごとに必要な登録。試験や面倒な手続きなどはない。
1と2を済ませ→3へ
というかんじで。
ちなみに
- 散弾銃は20歳以上
- エアライフル(空気銃)は18歳以上
でないと所持することができない。
車を運転するために運転免許が必要だけど、車を買って保有するための資格は必要ない。
しかし銃は、凶悪犯罪や死傷事故に直接つながる危険な武器でもあるので、これら事故や犯罪、盗難を未然に防ぐために、銃の使用や管理者として適格であるか、知識や了見を持ち合わせているかを厳正に審査する。
各種手続きや厳正な審査を経たことを認める所持許可(免許)が必要になるってわけだね。
また、銃の購入と受け取りは、所持許可を受けた後になることを覚えておこう。
厳密には所持許可を受けていなくても銃を購入することはできるが、受取りすることができない。
猟銃の所持許可と狩猟免許は別の資格であり、どちらを先にとっても基本的にはOK。
狩猟免許がなくても所持許可を得られるし、銃を持つこともできる。(この場合、狩猟ができないだけでね)
所持許可がなくても狩猟免許を取ることもできる。
下記で必要費用について述べた後、猟銃所持許可を得るための手続きと狩猟免許を取得するための手続きについて述べる。
必要な費用
まっさらの状態からかかる費用は以下のとおり。
①備品
中古散弾銃 10~30万円程
中古エアライフル 5~30万円程
ガンロッカー 2~5万円程
装弾ロッカー 1~3万円程
弾薬 3千~2万円程
①小計 83,000~420,000円
②銃砲所持許可の手続きに係るもの
猟銃等講習会 初心者講習申込料 6,800円
医師の診断書 3,000円
住民票や身分証明書などの役所書類 1,000円
証明写真代 1,000円~2,000円
銃砲所持許可申請手数料 10,500円
②小計 23,300円
③散弾銃(装薬銃)の場合 以下も必要
教習射撃資格認定申請手数料 8,900円
火薬の譲受許可申請手数料 2,400円
射撃教習受講料 30,000円程
射撃教習用弾薬 3,000円程
③小計 44,300円
④狩猟免許取得に係るもの
狩猟免許申請手数料 5,200円
医師の診断書 3,000円
証明写真代 1,000円
狩猟免許講習会 10,000円程
⑤団体・保険に係るもの
猟友会 入会費 3,000円程
狩猟税等 18,300円
共済金 4,800円
ハンター保険 4,000円
散弾銃の場合の初期費用
中古散弾銃 = 20万円
ガンロッカー = 2万円
装弾ロッカー = 1万円
弾薬 = 4千円
①+②+③+④+⑤
= 234000+23300+44300+19200+30100
= 35万900円
これが総費用となる。
続いて、所持許可の手続きについて述べる。
所持許可の手続きに進む場合
概要
"まず"猟銃等講習会の初心者講習に参加し、考査(学科試験)に合格する必要がある。(50問中45問正解でクリア)
- 愛知県警 猟銃等講習会
などとWeb検索し、猟銃等講習会の初心者講習の日程を確認し、自分の住所地を管轄する警察署に「猟銃等講習会に参加したい」といって電話をしよう。
猟銃等講習会参加申込の重要注意点
猟銃等講習会の日程が公表(更新)されてから5~7日ほどで空席がほぼ埋まる。
講習会自体が年に数える程の期間しかやっておらず、平日は結構あるが日曜の開催が非常に少ない。特に所持許可は動き始めてから許可を得るまで1年はかかるものなので、猟銃等講習会 初心者講習については鋭い目で日程公表を注視すべし。
ちなみに愛知県警はこちらのURLだ。
僕の場合は、猟銃等講習会の日程掲載ページを1日1回取得し、更新があったら通知するスクリプトを組み、更新に即応することでなんとか講習会に参加できたが…
この日程公表を甘く見てはいけない。
また、初心者講習の空席があったとて、警察署によっては、「狩猟免許を先に取得してから所持許可の手続きに進んでくれ」と言ってくる場合があるらしい。
なのでまずは
住所地を管轄する警察署に
「猟銃等講習会の初心者講習に参加したい」と電話し、猟銃の担当にかわってもらい、
猟銃の所持許可を得たい旨を伝え、狩猟免許を先に取るべきか訊ねよう。
参加申込の電話に対する備え
そこから初心者講習への参加申込の手続きのために「直接きて話そう」と言われるパターンか、電話口パターンかはわからないが、
のちのち「なぜ銃を持ちたいのか」「銃を何に使う予定か」
という尋問を受けることになる。(銃という大変危険なものを持つわけなので、それ相応の理由と考えがあるかどうかを確かめられるわけだ。当然なんだけども)
自分の考える用途に合わせて
- 「鹿やイノシシなど大型狩猟のために装薬銃(散弾銃)をもちたい」
- 「カモ猟のためにエアライフルを持ちたい」
- 「クレー射撃を始めたい」
と正直に答えよう。←ここ大事
狩猟ならどんな獲物を狙いたいのか、その獲物を狩猟するために散弾銃、エアライフルのどちらが必要かというのは事前に明確なイメージを持つようにしておこう。
また大型猟は1人ではなくグループで行うことが一般的だし、単独猟行にしても経験ゼロの状態から始める事は容易ではない。
猟師の先輩や先生がまわりにいるか、サポートを受けられる状態か、というツテ、つながりがあるかを問われることもある。
ジモティやtwitterで、仲間を探して猟師のつながりを持っておくことをオヌヌメする。
申込了承がとれたら、警察署に赴いて参加申込を行おう。このとき認印を忘れずに持参。
初心者講習申込料 6,800円を警察署にて支払い、収入印紙をもらい、申込用紙に貼る。
Police Manが丁寧に教えてくれるはずだ。
申込が済むと、「猟銃等取扱読本」というテキストと、講習会申込票が渡される。
どちらも初心者講習参加の際に必要になるものなので、なくさないようにとっておこう。
あと、講習会「までに」猟銃等取扱読本をちゃんと読み込んでおきましょう。
猟銃等講習会 初心者講習の流れ
初心者講習は、だいたい朝9時~夕刻16時に授業と、最後に考査と呼ばれる学科試験で構成されている。
09:00~10:50 1時限・2時限
10:50~11:00 休憩
11:00~11:45 3時限・4時限
11:45~12:45 昼休憩
12:45~14:00 4時限・5時限・6時限
14:00~14:20 講習DVD
14:20~14:40 休憩
14:40~15:40 考査(学科試験) 50問中45問正解
考査合格者に講習修了証明書を交付
僕が参加した時はこんな流れ。
合格すると講習修了証明書を受け取ることができ、
所持許可の次のステップである射撃教習に進む事ができる。
講習会なのだから、授業をちゃんと聞いて、試験に臨む………のだが、
猟銃等講習会 初心者講習においては、「予習してきている」ことが前提だ。
テキストを使い授業を進めることには進めるが、あまり深掘りしないうえ、ペースも遅くない。板書を取っているうちに「なんか重要そうなこと」言ってても聴き逃している。だからテキストを読み込んでおく。
テキストを読み込むと同時に初心者講習の考査の過去問や予想問題集を買って勉強することをオススメする。それでもテキストには最終的には目を通し、なるべく隅々まで理解するように努めるべし。
ちなみに僕はこいつの第3版をiOSのブックストアで買った。↓は第5版。
考査の問題のふいんきとしては、ひっかけ問題もあり、自動車免許の学科試験に似ていると感じた。
銃身何センチメートル以下のものは所持が禁止だとか、免許の有効期限は何年だとか、数値を覚えるべき問題が数多くあるが、用語を網羅的に覚えていないと判断に迷うような問題もあるので、用語の意味や使用場面をしっかり覚えることも重要だ。
例
散弾銃の弾薬直径を表すのは8「番」
散弾銃の弾薬に含まれる散弾(細かい粒)の大きさを表すのは8「号」
ちなみに先述のテキスト問題集を繰り返し解いたが、それだけではやや不安が残ると感じた。
講習会当日の授業において、いかにも重要そうな点を嗅ぎつける努力も必要かもしれない。
初心者講習の考査に合格し、講習修了証明書を手にしたら、
↓
◆教習射撃資格認定申請(警察署)
↓
◆審査
↓
◆認定証交付(警察署)
◆火薬等譲受許可申請(警察署)
↓
◆火薬譲受許可(警察署)
◆射撃教習の予約
↓
◆射撃教習
◆射撃教習修了証明書交付
↓
ガンロッカー購入・取り付け
装弾ロッカー購入・取り付け
銃の購入予約と譲渡等許可書を銃砲店からもらう
↓
銃砲所持許可申請(警察署)
↓
銃砲所持許可(警察署)
↓
銃砲店から銃を受け取り
↓
銃を受け取った14日以内に、銃を警察署へ持ち込み現物確認、確認印
細かいことは割愛したが、このような行程を経て、晴れて正式に銃の所持をすることができる。
ちなみに、エアライフルは◆の行程を飛ばしていきなり銃の購入予約と所持許可申請にはいる。
狩猟免許の取得に進む場合
概要
狩猟免許を取得するためには、狩猟免許試験に合格すればよい。ただし銃猟の場合は20歳以上から。
狩猟免許試験は年2~3回開催されている。
愛知県の場合、狩猟免許の試験日は年2回。
日程や申込方法は愛知県庁のWebページに載っている。
- 愛知県 狩猟免許 試験日
と検索して日程を確認しよう。
こんな感じのページだ。
↓わざわざ書くことではないが、念のため。
先述のとおり、銃砲所持許可と狩猟免許はそれぞれ別の資格であり、取るべき順序は(基本的には)指定されていない。
なので、所持許可の手続きなどと並行して狩猟免許の受験申込をしてしまってもよい。(並行とはいえど、狩猟免許の場合は受験申込をして、試験を受ける程度なのだが)
第一種免許と第二種免許
銃を使い猟をする場合の免許には、第一種狩猟免許と第二種狩猟免許があり、
第一種では装薬銃(散弾銃、ライフル銃)とエアライフルを使った銃猟
第二種ではエアライフルを使った銃猟
をすることができる。
つまり、第二種ではエアライフルだけが使え、第一種ではそれに加えて散弾銃、装薬ライフル銃を使うことができるということだ。
当然試験内容も異なり、第二種のほうが範囲が狭まり、多少楽になる。
自分が専らエアライフルを使用するのか、散弾銃を使いたいのかによって判断しよう。
参加申込に際して用意するもの
- 狩猟免許申請書
- 医師の診断書
- 証明写真1枚(サイズ指定)
- 送付用封筒(長形3号)
- 収入印紙 5,200円
以上が必要なものだ。
狩猟免許申請書は、県庁HPの狩猟免許についてのページに、もらえる場所の名称と住所が掲載されているはずだ。
また、年中もらえるわけではなく、受付開始日から受け取ることができるようなので注意。
以前愛知県の担当部署に電話した際は、「受付開始日を過ぎたら、(申請書を取りに)来る前にいったん連絡がほしい」と言われた。コロナ禍で事情が変わる可能性があるということだった。
狩猟免許の試験内容
①知識試験 30問 正答率70%以上
- 法令や狩猟免許制度等に関する知識
- 猟具の種類や取り扱い等に関する知識
- 狩猟鳥獣や狩猟鳥獣と誤認されやすい鳥獣の生態等に関する知識
- 個体数管理の概念等、鳥獣の保護管理に関する知識
②適性試験
- 視力
- 聴力
- 運動能力
※日常生活が問題なく送れていれば通る
③技能試験
- 鳥獣判別
- 銃器の分解点検や操作方法、射撃姿勢など
- 目測(獲物がだいたい何メートル先にいるか当てる)
おおまかにこのようになっている。
鳥獣判別とは、動物の絵をみて、それが狩猟してもよい動物か、してはいけない動物かを当てる問題だ。
↓僕はこのサイトで繰り返し問題を解いて練習した。ちなみに本試験と同じ絵が使われている。
知識試験はアプリや問題集を買って繰り返し解くこと、参考書としては狩猟読本が有名だ。
僕は狩猟読本をメルカリで買い、銃猟の教科書ってやつをiOSのブックストアで購入した。
↑これね。
問題集としてはこのアプリを使っている。
技能試験対策として、猟友会などが主催している
狩猟免許の講習会への参加がほぼ必須となっている。
参加料はおよそ1万円。
- 愛知県 狩猟免許 講習会
などと検索してなんとか案内ページにたどり着こう。
さいごに手続き・申請上の注意点
狩猟免許の申請から取得含め、所持許可を得るための各種申請には
・住民票
・各種申請書類(主に警察署にて入手)
・医師の診断書(精神的に安定していることの証明)
・身分証明書…破産していないことを証明する書類(本籍地のある役所にて入手)
かなり省略したがこれらの多種多様にわたる申請・添付書類を要し、これらの書類の入手や提出のために、役所や警察署の開庁している時間に自由に動ける必要がある。
平日に休みがなかなか取れない場合、特に教習射撃資格認定申請~所持許可のステップにおいてこまめな平日休みが計4~5日ほど必要になる。
このとき、各種申請や認定証の有効期限切れに注意しつつ、申請計画を立てよう。